この建物は、地下鉄心斎橋駅の北西、南船場に位置し、小さな店舗が多く並ぶ、落ち着いた雰囲気のある街の中に計画されている。 本来、テナントビルを計画する際、容積をいっぱいに使い高層化を計り、収益を得ることを考えるのが常識であるが、このビルはオーナーのまったく違った発想により、無駄のないシンプルな建物となった。 通常、高層のテナントビルを計画する場合、エレベーター等の垂設備が必要となる。しかし、この規模の敷地での計画には、これらの設備はレンタブル比の低下、およびメンテナンス等の悪条件が予想された。 そこで、いかにビル側の経費を最小限に食い止め、レンタブル比を上げるかに重点を置き、実に13％の利回りを確保できている。 また、重設備を用いなかったことにより、自由な発想で平面計画を進めることができ、上階へと導く階段は、人を上へと引き込む雰囲気のあるものとなった。屋上も中庭的要素を持つものとなっている。